第2章2節「クッキーズの初仕事」
さて。無事にギルド入門の手続きを済ませたクッキーズの2匹が迎える初めての朝。2匹を目覚めさせたのはさわやかな朝の日差しではなく、耳が破れそうな怒鳴り声でした。
字面からでもひしひしと感じられるこのうるささ。こんな怒声で起こされたらたまったもんじゃない。
乱暴な起こされ方に目を回すココア。
朝からブチギレるポケモン。彼はドゴームで、プクリンのギルドで働く先輩です。
近所迷惑もかくや、と言わんばかりの大声。
クリームも目を回してひっくり返っています。なんだか黄色いパッチールみたいになってる。
集合に遅れるととんでもないことになる。速く来るように、と言い残して彼は去っていきます。
ドゴームの言葉を聞き、寝ぼけ眼を擦りながらも「あること」に気付いて飛び起きる2匹。
ここはギルド。つまり…このままじゃ遅刻!急げ!
朝礼の場では、既に他のポケモン達が集まっていました。そういえば、先輩方の自己紹介とかしないんですかね…
全員揃ったので、朝礼のはじまり。
親方様、おはようございます。
…って、あれ。
目を開けたまま、寝てる…ちょっとざわつく弟子達。
しかしペラップは動じません。
今ので何言われたのか理解できたんだ…スピードラーニングでもやってたのだろうか。
ここでお辞儀するペラップが可愛いです。
そ、そんなこと言われましても。
呆気にとられる私達をよそに、朝礼は終わります。
最後に、誓いの言葉。社訓とかスローガンのようなものでしょうか。
「さあ、きょうもがんばるよ!」ペラップの言葉にみんなが声を揃えます。
色々と勝手が分からないので一連のやりとりをただ眺めていることしかできない新入りクッキーズ。なんだかこの辺がリアルな気がします。
先輩のみんなが仕事に出てしまい、私達は手持ち無沙汰。何をしたらいいのか…
うろついてると、ペラップに声を掛けられました。
言われた通りに着いていくと、そこは地下一階の掲示板前。ここでクッキーズに記念すべき初仕事が与えられます!
ペラップが連れてきたのは依頼掲示板。各地で困っているポケモン達の依頼が集められる掲示板です。
ペラップの話によれば、ここ最近、「各地の『時』がおかしくなっている」ことで悪いポケモンが増えてトラブルも多くなっているのだとか。時空の乱れとワルいポケモンの増加にどんな因果関係があるのかとちょっと疑問ですが。
時がおかしくなるとどう言った被害が出るんだろう。
そして、時の乱れのせいなのか、各地に「不思議のダンジョン」が出没しているそうです。
ここで今作のタイトル回収。
クリーム曰く、不思議のダンジョンとは、入るたびに地形や落ちている道具が変化する、その名の通り不思議な場所。行くたびに新しい発見があり、マンネリしないのだとか。昨日の夕方に2匹がズバットとドガースを追いかけて入った「かいがんのどうくつ」も、不思議のダンジョンです。
でも、危険なところでもある。倒れてしまうと所持金は半額、どうぐも殆どを失ってしまうというペナルティがあります。極力倒れないように気をつけましょう。
…余談ですが、「ダンジョン(dungeon)」という語には「迷宮」「洞窟」といった意味はありません。元は「(主に城内の)地下牢」といった意味です。それがいつしか「人間が恐怖を覚える場所」というニュアンスでこんにちのような使われ方になったとかならないとか。
さて、ペラップが2匹の初仕事に選んだのは、この依頼でした。
依頼主はバネブー。
バネブーの頭にはいつもピンク色の真珠があるのですが、それが何者かに奪われ、隠されてしまったとのこと。ちなみにこの真珠、パールルが作ったものらしいですよ。こんなところに需要と供給の関係が。サイコパワーの源でもあるバネブーの大切な真珠が、「しめったいわば」なる場所に隠されているので、自分の代わりに取りにいって欲しい、という依頼でした。
でもこれって、「探検隊」がやるべき仕事ではないような。
クリームはもっと、謎の秘境に行ってお宝を発掘したりだとか、そういったロマンのあるお仕事がしたいようですが、
当然、入門して2日目の彼等にいきなりそんな危険な真似はさせられない。
というわけで、まずはコツコツ下積みして慣れていきましょうね…
ロクな準備もさせて貰えずに、目的地のダンジョンまで向かいます。ここの最下層に真珠があるとのこと。
探検隊としての初仕事、頑張ろうね、クリーム!
初仕事の舞台「しめったいわば」は、奥底からこんこんと湧き出る泉によって岩場全体に水が流れるダンジョンです。
そうだ、前回の「かいがんのどうくつ」で既に変えていたのですが、オプションをいじりました。上画面にマップと簡単なステータス。私はこれが一番見やすいです。
トレジャーバッグを貰ったことで、拾ったアイテムを16個まで待てるようになりました。まずはふたつの装備品をそれぞれに装備させましょう。
ココアには、とくこうが強化されるスペシャルリボンを。
クリームには、全ての能力が少しずつ強化されるブルーリボン。16色ある波導のリボンは全て同じ効果です。
この「しめったいわば」も、「かいがんのどうくつ」と同じく水路があります。揃ってじめんタイプわざが弱点で水路に入れない2匹ですが、登場する敵ポケモンの殆どが水路を渡れるので、思わぬ襲撃に合わないように気をつけたいところです。「どろかけ」一発でもシャレになりませんからね。
登場ポケモンはアノプス、リリーラ、カラナクシ(にしのうみ)、リーシャン。カラナクシは経験値が低いのであまりわざを使って倒したくないですね。
ここもチュートリアルを兼ねているので、階層を降りたりアイテムを拾った時などに簡単な説明が流れます。
飛び道具もここで初入手。「いしのつぶて」などの投石系には最後までお世話になります。
飛び道具は99個までまとめて持てるので、積極的に集めていきましょう。
このダンジョンには、確実に「おおきなリンゴ」「ピーピーマックス」も落ちています。これらも探検に必要な道具ですので、しっかり回収しましょう。
今回のダンジョンで気をつけたいのがリーシャン。「まきつく」でこちらの動きを封じつつ、毎ターン6ダメージを与えてきます。ここでの6ダメージは大きいのでパートナーと2匹で相手したい。
とはいえ、珍しくロコンの「だましうち」が刺さるし他のポケモン達よりも経験値が高いので積極的に倒したいところ。
それから、空の探検隊初出の「そっくりどうぐ」も登場します。これは…「オレンのみ」に良く似た「オレソのみ」
この「オレソのみ」は、本家「オレンのみ」と違って、食べるとダメージを受けてしまいます。それにしても名前にタグでも付いていたのかみたいなテキストです。
よく見ないと名前に惑わされてしまいそうですが、
選択するとちょっと変わった簡易説明が出るので、これを見れば一目瞭然。
このダンジョンでは、地下6階を降りればOKです。そこまで難しいダンジョンではないのですが、このダンジョンで2回冒険失敗するとプクリン親方から「ふっかつのタネ」「オレンのみ」などの支援が渡されるらしいですよ。…その頃には貴重な装備品をふたつとも失っていそうだからやりませんが。
…おなかが空いてもギリギリまでリンゴをケチった結果。おなかがゼロになってしまうと1ターンごとに(一歩ごとに)HPが1ずつ減ってしまい、あっという間に餓死してしまうので注意が必要です…
最下層に到着。ここはボス戦がないので身構えなくても大丈夫です。
水が湧き出る泉の前に、桃色の真珠が転がっていました。これがバネブーの大切な真珠なのでしょう。
これを持ち帰れば、依頼達成です。
無事に真珠が戻ってきたバネブー。
あまりの不安に辺りをぴょんぴょん飛び跳ねてあちこちぶつけて怪我だらけ…だと話していましたが、バネブーは飛び跳ねることで心臓を動かしている(=跳ねることをやめると死んでしまう)ので、人間でいうなら「不安で不安で心臓の鼓動が速まった」と言ったところでしょうか。
バネブーは、お礼にと貴重なタウリン、ブロムヘキシン、リゾチウム、そしてなんと2000ポケもの大金をくれました。
それほどまでに真珠が大切なものだったのでしょう。
(こんな簡単な依頼なのに!)いきなり大金を得てしまいウハウハな2匹、
しかし。
殆どがギルドに巻き上げられてしまい、実際に2匹の手元に残ったのはわずか1割ほど。これもギルドのしきたり。仕方ない仕方ない…
さて、そうこうしているうちに。
ばんごはんの時間です。
歓声を上げるギルドのポケモン達。
この食事風景が可愛らしくて、いつまでも眺めていたくなります。
お腹がいっぱいになったら明日に備えて寝ましょう。今日は一日お疲れ様。初仕事がうまくいって良かったね。
せっかくの謝礼金の殆どを巻き上げられたのは悔しかったけれど、初めての仕事がうまく行って、そしてバネブーに感謝されたのが嬉しかった、とクリームは語ります。
この世界での探検隊、というのは誰かのお助けをする組織でもあるようです。
何はともあれ、今日はお疲れ様。明日もまた、頑張ろう。
つづく。